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陽だまりの街 ブルージュ

フランスに来て、初めての旅行はベルギー

2泊3日で巡ったのは、ブリュッセル、アントワープ、ブルージュ、ゲント…。

その中でいちばん心に残ったのは、やっぱり Brugge(ブルージュ)。


パリからブリュッセルまでは、格安特急でおよそ3時間。

日本でいう”こだま”のような、少しのんびりとした列車。

そういえば海外の格安特急といえば、恒例の“運試しイベント”がある。

座席指定ができなかったり、4人向かい合わせだったり…

席運が悪ければ、列車は数時間の我慢大会となってしまう。

今回も指定席はとれなかったけれど、運よく夫とは4人掛け向かい同士。

ただし、隣には体格のよい黒人男性が腰かけていて、すでに座席の2/3を占領済み。

私はまるで小人のように、残りのスペースにちょこんと腰を下ろした。

それでも彼は自分の体格をよくわかっていて、できる限り私のスペースを邪魔しないように身を寄せてくれていた。

その気遣いが、なんだかかわいらしかった。


ベルギーで楽しみにしていたのは、ワッフル、チョコレート、フリッツ(ポテトフライ)。

そんな食いしん坊の期待をやすやすと超えてきたのが

”ブルージュ”だった。

2日目の朝早く、ブリュッセルから列車で向かうと

曇り空のおかげで街は少しモヤに包まれ、観光客もまだ少ない。
その静けさが、街並みをいっそう幻想的に見せていた。

家々はどれも、住む人のこだわりがにじむ装飾に彩られている。

レース編みのカーテンがかかる小窓。

少しかがまないと入れなさそうな小さな玄関ドア。

カラフルなガラスがはめ込まれたステンドグラス。

大切に手入れされている家々を横目に、

「どのお家に住みたいかな…」と考えずにはいられなかった。


そして、この街の大きな魅力は細い運河。

ブルージュの繁栄を支えたその運河をボートで巡るのは、夫の提案だった。

ボートに乗り込むと、雲の隙間からちょうど太陽と青空がのぞいてきた。
そのタイミングもまた、うれしかった。

運河沿いには、かつて商人たちが暮らした船着場のある豪邸が並んでいる。

そのどれも「富豪の家ですよ」と押し出すような威圧感はなく、

静かな街に溶け込むような、控えめな佇まい。

それでも自然と、「ここに住んでいたのはきっと富豪だろうな」とこちらに想像させてくれる。

桟橋の柵には、小さな花が植木鉢からこぼれるように咲いており、

ボートの低い位置から見上げる青空に、その鮮やかな色合いがよく映えていた。

やさしい風が心地よく、いつまでも揺られていたいと思った。


そういえば、もうひとつ楽しみにしていたことがあった。

ブルージュはレース編みでも知られる街。

器用で美的感覚に優れた祖母が、

刺繍やレース編み、人形作りや粘土細工をよく楽しんでいたことを思い出した。

私の『”こういうもの”好き』は、きっと祖母の影響なのだと思う。

海外に来ると、ときどきそのルーツが刺激され、不思議と心がワクワクするのだ。

(私は自分ではできないが…)

最初は買うつもりがなかった。

けれど、あれこれ「かわいい!」を連呼していたら、夫がひと言。

「ぜんぶ買ったらいいよ」と。

結局 ”Rococo”というお店でひとつだけ。

悩みに悩んで選んだ、いちばん気に入ったものを思い出と一緒に連れて帰った。

かわいいフレームを見つけて部屋に飾るのが、今から楽しみだ。


“Brugge”

思い出すのは、

青い空に花の溢れる細い運河、

あたたかい風に揺れる木漏れ日、

小窓のあるかわいいお家。

あの街は、あたたかい陽だまりのようだった。

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